スペクトル比

Geo-Stickが建築物の上下の階に2か所以上設置されている場合に、上下の2個1セットのGeo-Stickで得られたデータよりそれぞれのスペクトルを求めます。この2つのスペクトルに対し、「上」割る「下」で比をとったものがスペクトル比です。

スペクトル比が表すものは、2つのGeo-Stickに挟まれた部分の振動特性です。例えば、6階建てのビルで6階と1階にGeo-Stickが設置されている場合を考えます。6階で求めたスペクトルには、ある地震動に対する地盤や基礎およびビル本体の全ての振動特性が反映されていますが、1階で求めたスペクトルにはある地震動に対する地盤や基礎の振動特性までが反映されています。これを割り算するとビル本体の振動特性だけが浮かび上がります。求められたスペクトル比で、値が最大値を示す周期はビル本体に固有の特性値と考えられます。この特性値を地震があるごとに求めておくことで、地震により生じたビルの損傷や経年劣化などを評価する手掛かりとなります。

本サイトの技術情報に掲載しているGeo-Stick Technical Report Vol. 007では、実測されたデータをもとにスペクトル比が表す特性値を分析しています。

→Geo-Stick > 技術情報

ランニングスペクトル

Geo-Stickにより地震時に得られた加速度データからは、フーリエスペクトルを作成することができます。フーリエスペクトルは、震動が継続した時間の全ての加速度データを用いて作りますが、これを時間を少しずつずらしながら一定の時間を区切って作成し、時間ごとに並べたものがランニングスペクトルです。Geo-Stickを用いた構造物の診断サービスでも用いられています。

→Geo-Stickと診断サービス > 地震の記録

加速度データより作成されたフーリエスペクトルでは、その値が最大となる周期があり、卓越周期と呼ばれます。卓越周期は、地盤や基礎を含めた建築物全体が揺れやすい周期と考えられますが、例えば、地震動により杭が損傷する、柱や梁が損傷する、液状化が発生するなど、建築物の振動特性が変化すると、卓越周期も地震動の継続中に変化する可能性があります。時間を区切って作成したランニングスペクトルにより、卓越周期の時間変化を求め、構造物の損傷の可能性を調べることができます。

ランニングスペクトルは、火山性微動地震の分析などでも用いられています。以下のリンクは、神奈川県温泉地学研究所における箱根山の火山活動研究に関するページです。

→神奈川県温泉地学研究所|7.特殊な地震の発生

フーリエ変換

前回、Geo-Stickが記録した揺れ(加速度)の特徴を分析するためにスペクトルを用いることを説明しました。スペクトルは、波形をさまざまな周波数の波を重ね合わせたものと考え、それぞれの周波数の波がどのような割合で含まれているかを求めることで得られますが、このときの数学的な処理方法をフーリエ変換といいます。連続した波を、周波数ごとに区切ってその割合を調べるので、アナログ情報をデジタル情報に変換する手法と捉えることもできます。

→ウィキペディア:フーリエ変換

フーリエ変換は、1811年にジョゼフ・フーリエというフランス人が提唱しましたが、1965年にCooleyとTukeyがコンピュータを使って高速に行う手法を発表し、一気に実用化が進みました。高速フーリエ変換、FFTと呼ばれる手法です。フーリエ変換自身がアナログ情報をデジタル情報に変換する手法であり、アナログ情報である音声や画像などもFFTによりデジタル情報化されます。

現在では、mp3をはじめとする多くの音声フォーマットや、JPEG画像の圧縮などに、FFTは無くてはならない技術となっています。

フーリエスペクトル

Geo-Stickの診断サービスでは、たびたびスペクトルという言葉が出てきます。これは、加速度振幅フーリエスペクトルを略して用いているもので、Geo-Stickが記録した揺れ(加速度)の特徴を分析するために使うものです。

加速度は、時間とともに変化する波形として記録されますが、このままでは揺れの特徴がわかりません。そこで、波形をさまざまな周波数の波を重ね合わせたものと考え、それぞれの周波数の波がどのような割合で含まれているかを求めて、その分布状況から揺れの特徴を分析します。この分布状況がスペクトルです。

→国土交通省 気象庁:フーリエスペクトルと加速度応答スペクトル

光に例えると、光も波としての性質をもっており、さまざまな周波数の光が含まれています。

これをプリズムに通すと、周波数によって屈折率が異なるために、周波数ごとに光が別れて虹色の帯が現れます。これが光の場合のスペクトルです。細かく見ると、各色の光の強さが異なっていたり、抜けている周波数があったりします。太陽光の場合は、このスペクトルを見ることで太陽の内部で生じている物理化学変化がわかります。

Geo-Stickが記録した揺れのスペクトルからも、構造物が揺れやすい周波数などがわかります。声でワイングラスを割る、という芸がありますが、ワイングラスが振動しやすい周波数の音を連続してワイングラスに与えると、振動がどんどん大きくなり、最後にワイングラスは割れます。地盤を伝わってきた地震動に構造物が揺れやすい周波数が多く含まれていると危険な状況になることが推測できます。

LTE

Geo-Stick/Wirelessでは、インターネットへの接続においてLTE通信にも対応しています。LTEとは、モバイル通信の規格である3Gを「長期的に進化」(Long Term Evolution)させ、4Gへのスムーズな移行を目指した新しい通信規格です。そのため、当初は3.9Gと呼ばれていましたが、世界的にLTEを4Gと称する通信事業者が増えてきたため、最近では4Gの一種とするのが一般的となっています。

もともとNTTドコモがSuper 3Gという名称で提唱した規格ですが、その後世界各国に普及していく過程でLTEという言葉に置き換わっていったようです。

→ウィキペディア:Long Term Evolution

通信規格の3Gや4Gで使われている「G」という言葉ですが、これは英語の「Generation(世代)」の頭文字です。たとえば、3Gというのは「第3世代」の通信規格であることを意味しています。

1Gはアナログ方式の通信規格、2Gはデジタル方式になってメールやネットの利用に対応した規格です。3Gに該当するサービスとしては、NTTドコモの「FOMA」があります。LTEでは、3Gの数倍の通信速度が期待できます。

通信速度が向上し大量のデータが瞬時にやり取りできるようになると、気になるのは通信料金です。これは使うSIMに依存しますが、料金は通信速度やデータ量の制限などによりまちまちです。

廉価なSIMでは通信量に制限がある場合が多いようですが、Geo-Stickで得た加速度データを送る程度であれば問題ありません。