STERA_3D

建築物の3次元地震応答解析を行おうとすると、構造のモデル化や材料特性の設定、入力地震動の作成など、多くの労力が必要となります。これを軽減してくれるのが、豊橋技術科学大学斉藤教授が開発された建築物の立体地震応答解析プログラムSTERA_3Dです。

→地震災害工学研究室|解析ソフト

STERA_3Dでは、鉄筋コンクリート造/鉄骨造/鉄骨鉄筋コンクリート造/免震/制振など様々な建物の

  • ・弾性振動モード解析
  • ・一方向静的漸増載荷解析(逆三角形分布、等分布、等)
  • ・静的繰り返し載荷解析
  • ・弾塑性地震応答解析

ができます。

柱、梁、壁などの構造は、直感的な操作で配置や材料の選択が可能であり、これらの構造や地震による変形は3次元で可視化されます。免震構造や制震構造も、苦労なくモデル化することができます。地震動も数種類添付されていますが、ファイル形式が公開されているため、Geo-Stickで取得したデータなども変換して使うことができます。大変使いやすいソフトウェアです。

本サイトの技術情報に掲載しているGeo-Stick Technical Report Vol. 012でも、斉藤教授の許可を得た上でSTERA_3Dを用いています。

→Geo-Stick > 技術情報

かんたん振動解析

Geo-Stickで得られたデータを、建築物の理論的な振動と比較したい場合などに便利なツールがあります。それが、株式会社ストラクチャーのフリーソフトウェア「かんたん振動解析」です。

→株式会社ストラクチャー|フリーソフトウェア

「かんたん振動解析」では、直列質点系(いわゆる串団子モデル)の弾塑性振動解析を行い、各質点の時刻歴応答が求められます。質点の最大数は30個で、各階ごとに重量や階高、剛性(復元力特性)を指定し、地震時の加速度や変位などを算定します。剛性は折線で指定します。地震波は、エルセントロ波など3つが標準添付されていますが、専用ファイル形式であるため、Geo-Stickなどで獲られたデータは付属のツールでファイル変換して読み込みます。

構造物の剛性や重量などが推定できる場合には、1階に設置されたGeo-Stickで計測された加速度データを入力として計算を行い、各階で算定された加速度データを計測値と比較するなどして、建築物の振動特性を検討することができます。

本サイトの技術情報に掲載しているGeo-Stick Technical Report Vol. 011でも、「かんたん振動解析」を用いています。

→Geo-Stick > 技術情報

ViewWave

Geo-Stickで計測されるデータは3成分の加速度データですが、これに様々な処理を施すことで、建築物の振動特性に関する多くの情報を引き出すことができます。Geo-Stickが記録した生データを直接処理し分析したいと考える方にお勧めのツールが、国立研究開発法人建築研究所が公開しているソフトウェアViewWaveです。

→Kashima’s Office|ViewWave

ViewWaveは、K-NETなどよく知られた形式の加速度時刻歴ファイルを自動で読み込んで表示します。Geo-Stickのデータも、形式を整えることでViewWaveに読み込むことができます。

分析機能は豊富で、速度や変位の時刻歴データの表示はもとより、フーリエスペクトルやスペクトル比、応答スペクトルも算定し表示します。表示画面は自由にカスタマイズすることができ、研究論文の作成などで重宝します。グラフはWindows クリップボードにEMF (Enhanced Metafile) データとして送られ、その品質を保持したまま張り付けることができる点も注目されます。

Geo-Stickによる診断サービスでは、地震時に得られた加速度時刻歴を自動で処理し、ViewWaveで可能な分析に加え、ランニングスペクトルや固有周期の経時変化などをWeb経由でご提供します。

→Geo-Stick > Geo-Stickと診断サービス

スペクトル比

Geo-Stickが建築物の上下の階に2か所以上設置されている場合に、上下の2個1セットのGeo-Stickで得られたデータよりそれぞれのスペクトルを求めます。この2つのスペクトルに対し、「上」割る「下」で比をとったものがスペクトル比です。

スペクトル比が表すものは、2つのGeo-Stickに挟まれた部分の振動特性です。例えば、6階建てのビルで6階と1階にGeo-Stickが設置されている場合を考えます。6階で求めたスペクトルには、ある地震動に対する地盤や基礎およびビル本体の全ての振動特性が反映されていますが、1階で求めたスペクトルにはある地震動に対する地盤や基礎の振動特性までが反映されています。これを割り算するとビル本体の振動特性だけが浮かび上がります。求められたスペクトル比で、値が最大値を示す周期はビル本体に固有の特性値と考えられます。この特性値を地震があるごとに求めておくことで、地震により生じたビルの損傷や経年劣化などを評価する手掛かりとなります。

本サイトの技術情報に掲載しているGeo-Stick Technical Report Vol. 007では、実測されたデータをもとにスペクトル比が表す特性値を分析しています。

→Geo-Stick > 技術情報

ランニングスペクトル

Geo-Stickにより地震時に得られた加速度データからは、フーリエスペクトルを作成することができます。フーリエスペクトルは、震動が継続した時間の全ての加速度データを用いて作りますが、これを時間を少しずつずらしながら一定の時間を区切って作成し、時間ごとに並べたものがランニングスペクトルです。Geo-Stickを用いた構造物の診断サービスでも用いられています。

→Geo-Stickと診断サービス > 地震の記録

加速度データより作成されたフーリエスペクトルでは、その値が最大となる周期があり、卓越周期と呼ばれます。卓越周期は、地盤や基礎を含めた建築物全体が揺れやすい周期と考えられますが、例えば、地震動により杭が損傷する、柱や梁が損傷する、液状化が発生するなど、建築物の振動特性が変化すると、卓越周期も地震動の継続中に変化する可能性があります。時間を区切って作成したランニングスペクトルにより、卓越周期の時間変化を求め、構造物の損傷の可能性を調べることができます。

ランニングスペクトルは、火山性微動地震の分析などでも用いられています。以下のリンクは、神奈川県温泉地学研究所における箱根山の火山活動研究に関するページです。

→神奈川県温泉地学研究所|7.特殊な地震の発生