AI

車の自動運転や囲碁・将棋などの対戦で話題に上がるのがAI(人工知能)です。AIを使えば、Geo-Stickで計測されたデータが地震によるものかノイズなのか、直下型地震によるものかプレート型地震によるものか、あるいは地震により建築物が損傷したか、地盤が液状化したかなどを、人の手を介さずに判断できるようになるかもしれません。

この中核をなす技術は、ディープラーニングと呼ばれています。NVIDIAのページなどにわかりやすい解説があります。

→人工知能、機械学習、ディープラーニングの違いとは|NVIDIA
→ディープラーニング|Wikipedia

ディープラーニングでは、多層からなるニューラルネットワークを学習させ、例えばGeo-Stickで得られた加速度時刻歴が、前述のどのパターンに分類されるかを正しく判断できるようにします。このためには、数多くの計測データと学習のための分類が必要となります。

過去に地層科学研究所では、ディープとまではいかないのですが、ニューラルネットを使って加速度データを分別する手法を検討したことがあります。

→ニューラルネットワークを使った波形の分別|地層科学研究所

今後、ディープラーニングのツールが整備されれば、地震防災にも必ず役立ってくると考えられます。

クラウド

Geo-Stickによる診断サービスでは、地震時に大量のデータが送られてくることに対応するため、クラウドと呼ばれるシステムを活用します。

「クラウド」とは、クラウドサービスプラットフォームからインターネット経由でコンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションをはじめとした、さまざまな IT リソースをオンデマンドで利用することができるサービスの総称です(『クラウドとは?|AWS』より引用)。クラウドは私たちの仕事や生活環境に既に深く浸透しており、スマートフォンのデータの保管やファイルの共有などで活用されています。クラウドを活用することで、地震発生時の大量データの処理もスムーズに行われます。

気になるのはセキュリティの問題ですが、これに関しては経済産業省が平成23年にクラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドラインを公表しています。

→クラウド利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン

このガイドラインでは、情報セキュリティマネジメントのベストプラクティスをまとめた国際規格(ISO/IEC27002:2005)を参照して、情報セキュリティ確保のために、「クラウド利用者自らが行うべきこと」と「クラウド事業者に対して求めるべきこと」がまとめられています。 このガイドラインに準拠できているサービスなのかも調べておくとよいでしょう(『クラウドはセキュリティが不安?|IDCフロンティア』より引用)。

STERA_3D

建築物の3次元地震応答解析を行おうとすると、構造のモデル化や材料特性の設定、入力地震動の作成など、多くの労力が必要となります。これを軽減してくれるのが、豊橋技術科学大学斉藤教授が開発された建築物の立体地震応答解析プログラムSTERA_3Dです。

→地震災害工学研究室|解析ソフト

STERA_3Dでは、鉄筋コンクリート造/鉄骨造/鉄骨鉄筋コンクリート造/免震/制振など様々な建物の

  • ・弾性振動モード解析
  • ・一方向静的漸増載荷解析(逆三角形分布、等分布、等)
  • ・静的繰り返し載荷解析
  • ・弾塑性地震応答解析

ができます。

柱、梁、壁などの構造は、直感的な操作で配置や材料の選択が可能であり、これらの構造や地震による変形は3次元で可視化されます。免震構造や制震構造も、苦労なくモデル化することができます。地震動も数種類添付されていますが、ファイル形式が公開されているため、Geo-Stickで取得したデータなども変換して使うことができます。大変使いやすいソフトウェアです。

本サイトの技術情報に掲載しているGeo-Stick Technical Report Vol. 012でも、斉藤教授の許可を得た上でSTERA_3Dを用いています。

→Geo-Stick > 技術情報

かんたん振動解析

Geo-Stickで得られたデータを、建築物の理論的な振動と比較したい場合などに便利なツールがあります。それが、株式会社ストラクチャーのフリーソフトウェア「かんたん振動解析」です。

→株式会社ストラクチャー|フリーソフトウェア

「かんたん振動解析」では、直列質点系(いわゆる串団子モデル)の弾塑性振動解析を行い、各質点の時刻歴応答が求められます。質点の最大数は30個で、各階ごとに重量や階高、剛性(復元力特性)を指定し、地震時の加速度や変位などを算定します。剛性は折線で指定します。地震波は、エルセントロ波など3つが標準添付されていますが、専用ファイル形式であるため、Geo-Stickなどで獲られたデータは付属のツールでファイル変換して読み込みます。

構造物の剛性や重量などが推定できる場合には、1階に設置されたGeo-Stickで計測された加速度データを入力として計算を行い、各階で算定された加速度データを計測値と比較するなどして、建築物の振動特性を検討することができます。

本サイトの技術情報に掲載しているGeo-Stick Technical Report Vol. 011でも、「かんたん振動解析」を用いています。

→Geo-Stick > 技術情報

ViewWave

Geo-Stickで計測されるデータは3成分の加速度データですが、これに様々な処理を施すことで、建築物の振動特性に関する多くの情報を引き出すことができます。Geo-Stickが記録した生データを直接処理し分析したいと考える方にお勧めのツールが、国立研究開発法人建築研究所が公開しているソフトウェアViewWaveです。

→Kashima’s Office|ViewWave

ViewWaveは、K-NETなどよく知られた形式の加速度時刻歴ファイルを自動で読み込んで表示します。Geo-Stickのデータも、形式を整えることでViewWaveに読み込むことができます。

分析機能は豊富で、速度や変位の時刻歴データの表示はもとより、フーリエスペクトルやスペクトル比、応答スペクトルも算定し表示します。表示画面は自由にカスタマイズすることができ、研究論文の作成などで重宝します。グラフはWindows クリップボードにEMF (Enhanced Metafile) データとして送られ、その品質を保持したまま張り付けることができる点も注目されます。

Geo-Stickによる診断サービスでは、地震時に得られた加速度時刻歴を自動で処理し、ViewWaveで可能な分析に加え、ランニングスペクトルや固有周期の経時変化などをWeb経由でご提供します。

→Geo-Stick > Geo-Stickと診断サービス