HD-PLC

100Vなどの既存の電力線を用い高速データ通信を実現する技術が、HD-PLC(High Definition Power Line Communication)です。

→高速PLC通信とは? | HD-PLCアライアンス

HD-PLCは、パナソニックの研究所が中心となって2000年に開発した通信規格であり、電力線で電力とデータの2つを一緒に伝送し、専用アダプターをコンセントに差し込むだけで電力の供給と通信を実現する優れものです。パナソニックの創業者である松下幸之助氏が発明した、電灯と家電用ソケットの両方に使える「二股ソケット」と同様のコンセプトだとされています。魅力的な技術ですが、無線LANなどの発展に押され、いったんは忘れられかけたていました。しかし、IoT時代の到来で再び注目されています。その理由は、既存の無線LANや有線LANなどに対していくつかの優位点があるからです。

1つめは、電源のあるところであれば、ネットワーク環境を容易に構築できることです。LANケーブルの新規敷設などの必要がなく、構築コストを大幅に削減できます。2つめは、通信の安定性が挙げられる。金属など無線の届かない障害物や部屋間でも通信できるので、無線通信の不安定が解決されます。その他、マルチホップ機能によりkmオーダーでの通信も可能であることや、電力とデータを同時に扱うため、通信のための消費電力を抑えられるといった優位性も挙げられます。

Geo-Stickを既存の建物に設置することを考えると、新規にネットワーク環境を構築することが困難なケースも想定されることから、HD-PLCの活用も視野に入れています。

ラズパイ

ラズベリーパイをご存じでしょうか。IoTのムーブメントが巻き起こっているなか、ラズベリーパイ(Raspberry Pi、略称ラズパイ)という言葉を目にする機会が増えています。ラズベリーパイは、イギリスのラズベリーパイ財団が開発した超小型のシングルボードコンピュータです。名刺サイズの小さな1枚の基板に、ARMベースのCPUや、パソコンを構成するハードウェアの大半が詰め込まれていて、HDMI/USB/LAN等のインターフェイスを利用することが可能です。

→ラズベリーパイ正規総代理店 – RSコンポーネンツ | 半導体・電子部品の通販 RSオンライン

ラズベリーパイは、もともと学校でのコンピュータ教育を目的に開発されており、価格が数千円に抑えられています。最初に登場したのは2012年ですが、現在ではネットワーク対応や処理速度の向上、ワイヤレス通信への対応などが図られ、2016年には累計販売数が1,100万台を超えたとの情報もあります。

→Raspberry Pi | Wikipedia

この小型で廉価なやシングルボードコンピュータは、教育だけでなくプロの製品開発分野でも使われています。Geo-Stickでも、USB/Etherの変換器の試作機として使われています。アイデア次第で、様々なIoTの実現が期待される魅力的なコンピュータです。

5G

最近、通信の分野でよく耳にするのが5Gです。Gは世代を表すGenerationの頭文字で、5Gは第五世代の移動通信システムを表しています。世代交代はおおよそ10年毎に起こっており、ドコモなどでは2020年の実用化を目指して開発がすすめられています。

→5G(第5世代移動通信システム) | 企業情報 | NTTドコモ

スマホでメールやSNSを使ったり、音楽や動画を楽しんだりしている範囲では、現状の4G通信で大きな不満を感じることはありません。しかし、今後はIoT化が急速に進み、ありとあらゆるモノがインターネットに接続することで通信量の増大が見込まれており、高速通信を特徴とする5Gに期待が高まっています。車の自動運転やドローンによる情報収集、遠隔医療などでは5Gが不可欠となりそうです。

Geo-Stickでは、無線通信網を使うワイヤレスモデルを開発しています。これは、LANが設置されにくい体育館や避難所などで使われることを想定していますが、電柱や堤防など地震時に損傷が予想される屋外の構造物も対象としています。また、カメラを備えたモデルを開発し、地震時の被災状況を即時に伝えることも視野に入れています。

問題は、地震発生時には数多くのGeo-Stickからの通信を同時に受けることとなることや、送るデータも加速度波形データや画像など、重たいものになることです。このような場合には、5Gが頼りになる通信システムになりそうです。

IoT

IoT (Internet of Things)とは、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノが、ネットワークを通じて相互に情報交換をする仕組みです。アマゾンのWebページにわかりやすい解説があります。また、総務省の情報通信白書(平成28年版)によると、IoTデバイスの数は2015年の154億個から、20年には304億個になるとされています。

→IoT とは?(Internet of Things)| AWS
→関係情報:情報通信関連:情報通信白書平成28年版

建築や土木の分野でもIoTの活用が進んでいます。建物で浸透するスマートハウスやスマートビルの概念では、建物内の温度や湿度、照度などを計測し、建物内のエネルギー消費を最小化したり、生活環境を最適化するよう、照明やエアコンを制御します。土木の分野では、各種センサにより建設機械や作業員の動きを把握し、作業効率や作業の安全性を高めるように施工管理がなされます。IoTは、インターネットに接続されたセンサ群がもたらす情報を総合し、新しい価値を創造する仕組みといえます。

Geo-Stickのような加速度計測システムも、インターネットに接続することにより、得られた情報を様々な方面に活用できるようになります。例えば、多くの建物にGeo-Stckが設置されたとすれば、地震時に揺れやすい地盤や建物を見つけ出すことができます。これらを補強することで地震に強いまちづくりが可能になります。

層間変形角

建物が地震力を受けて水平方向に変形する場合に、各階の床の、下階の床に対する相対的な水平変形量を「層間変形」と呼び、その値を「階高」で割った値を「層間変形角」と呼びます。
層間変形角は、建物各階のひずみ度合いを表しており、地震時における建物の損傷を評価する上で大切な指標です。建築基準法では、想定した地震力に対して層間変形角が1/200以内となるように設計することを要請しています。

→建築基準法施行令|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

一方、Geo-Stickが建物の上下階の床に二つ設置してあれば、地震時の層間変形角を求めることができます。まず、両方の加速度時刻歴データを積分し、両方の階での水平変位の時刻歴を求めます。得られた二つの変位時刻歴の時刻を揃えて並べ、上階と下階の変位の差を求め、これを階高で除せば層間変形角の時刻歴が得られます。この最大値が、地震時における建物の損傷を評価するための値となります。

これらは簡単な作業に見えますが、実は大変です。一つは、加速度を積分して変位を求める際に、低周波のノイズに起因するみかけの変位が生じてしまいます。これには、気象庁が用いているフィルタを使うことが考えられます。

→速度波形・変位波形の求め方|気象庁

二つ目は、両方の変位の時刻を合わせることです。Geo-Stickのような加速度計測システムは、内部に時計を持っていますが、時刻はあまり正確ではありません。このような場合には、それぞれのGeo-Stickの記録開始時刻や終了時刻を、通信ネットワーク内の別のコンピュータの時計で計測し、時刻を合わせる方法が考えられます。

Geo-Stickを用いた地震と建物のモニタリングサービスでは、このような工夫を施して層間変形角を求めています。