液状化現象

液状化現象は、地震の際に地下水位の高い砂地盤が振動により液体状になる現象で、広く知られています。東北地方太平洋沖地震や、最近では北海道胆振東部地震の際に、液状化による大きな被害が発生しました。

→液状化現象 – Wikipedia
→液状化現象 | 地震本部

宅地で液状化が発生すると、地盤の不均一な沈下によって住宅が傾いたり、柱や梁が損傷して建て替えが必要となる場合もあります。このような事態を避けるためには、地震時に液状化が想定されている地盤に対して、液状化が発生しにくくなるような対策工を施すこととなります。しかし、工事には多額な費用がかり、また住宅が一戸だけでは効果が限定されます。

このような観点から、国土交通省では道路なども含めた宅地全体での対策工事を勧めています。広い範囲の地盤が対象であれば、注入材で地盤を固めたり、液状化のそもそもの原因である地下水の水位を下げることも可能です。

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宅地の地盤の液状化し易さは、ボーリング調査により評価されますが、住宅にGeo-Stickのような加速度計側システムを設置しておくことで、中小規模の地震時の住宅や地盤のゆれからも情報を得ることができると考えます。

E-ディフェンス(2)

前回紹介したE-ディフェンスは、世界最高性能で世界最大の震動台を備える施設ですが、実験に供する実物大の構造物を建設し実験を行うためには、多大な労力と時間を要します。このため、行われる実験ケースにも限りがあり、また、実験に関わる研究者の数にも限界があります。

そこで、E-ディフェンスを所管する国立研究開発法人防災科学技術研究所では、実験で得られたデータを公開し、多くの研究者が実験の成果をもとにした研究を行うことができるよう配慮がなされています。実験データのダウンロードは、E-ディフェンス試験データアーカイブ(ASEBI=Archives of Shakingtable Experimentation dataBase and Information)のサイトから可能です。

→ASEBI

データには、実験条件や実験ケース、実験結果の生データなどが含まれ、研究の目的に応じて加工が可能です。筆者がダウンロードした経験では、実験に関するデータは膨大ですが整然と管理され、また生データとはいえ物理的な意味を持つ数値にまで加工されており、使いやすく感じました。

ただし、実験を計画し実施する側に配慮し、実験を遂行しその研究成果を公表すための時間を確保するために、データ公開までに実験終了後一定の猶予期間を設けることとしています。
防災科学技術研究所では次のように述べています。「データ公開システムがより有効に活用されることにより、研究者コミュニティが創出され、その研究成果が都市・地域の地震防災・減災に効果的に結びつけられることを切に願う次第です。」

E-ディフェンス(1)

E-ディフェンス(E-Defense)とは、世界最大級の震動台を有する実験施設です。この震動台の上に実物規模の大型構造物を建設し、これの地震動による破壊実験を行うことができます。E-ディフェンスは国立研究開発法人防災科学技術研究所が所管し、施設は兵庫県三木市にある兵庫県立三木防災公園内にあります。

驚くべきはその大きさとパワーです。実験棟の面積は約5,200m2、高さ43mで、実際の地震と同じ複雑な三次元の揺れを造り出す15m×20mの震動台が装備されています。その上に最大1,200トンの構造物試験体を載せ、阪神・淡路大震災を上回る地震動をおこすことができます。戸建住宅はもとより、鉄筋コンクリート造6階建て程度の建物に震動を加え、破壊するまでの様子を観察できます。

→防災科研|E-ディフェンス
→E-ディフェンス – Wikipedia

E-ディフェンスは、阪神・淡路大震災で発生した構造物被害の教訓を活かし、地震から人命を守る構造物の設計を目指して、平成12(2000)年1月に建設が開始され、平成17(2005)年3月しました。以来、数多くの実大三次元震動破壊実験が行われています。名前に冠される”E”はEarth(地球)を表すそうです。地震国日本が生み出した素晴らしい実験施設は、世界の地震防災に貢献していきます。

スマートビル

ビルのスマート化が進んでいます。象徴的な出来事として、ソフトバンクと日建設計の業務提携が挙げられます。両社は2017年11月27日、IoTやロボットなどを活用した次世代スマートビルディングの設計開発に向けた業務提携で合意したと発表しました。

→ソフトバンクと日建設計が業務提携 | プレスリリース | ニュース | 企業・IR | ソフトバンク
→次世代スマートビルで運用費40%削減へ–ソフトバンクと日建設計が業務提携 – CNET Japan

提携では、(1)人流解析と環境センサや人感センサなどのIoTセンシングによる新しいワークプレイスデザイン、(2)IoTとロボットの導入を考慮した次世代スマートビルディングの共同検討、(3)各種IoTセンサを活用したビルのライフサイクルマネジメント最適化検証、の3点で実証実験を行うとしています。

狙いはオフィスビルの運用費の削減で、清掃に関しては、広いオフィスでも、道順など1台のロボットが学習したことを複数台で共有できる掃除ロボットによって清掃コストを削減できるとしています。また、オフィスに整備されたセンサによって、24時間の警備代行が可能になり、エレベーターや各種設備の定期点検も、センサによって常時マネジメントすることで、設備管理のコストも削減可能になるとされています。

仮に、ビルの各階にGeo-Stickが設置されていればどうでしょう。地震のたびにビルの揺れの特徴を計測し、揺れやすさや構造の経年劣化などを評価します。これらは耐震補強の検討やアセットマネジメントを通して、ビルのライフサイクルマネジメントに結びついていきます。大きめの地震では、被災箇所を推定し避難誘導の最適化を図ることができるかもしれません。Geo-Stickは、ビルのスマート化にも貢献します。

HEMS

数年前まで、住宅にHEMSを備える、といった言葉をよく耳にしました。HEMSとは、Home Energy Management Systemの略で、エアコンや照明、家電などを有線や無線でつなぎ、使用している電力をモニターなどで「見える化」するシステムのことです。

→HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム) – 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア

モニターやスマホなどからエアコンや照明などの電気機器の電源をON・OFFしたり、エアコンの設定温度を変えたりといった制御も可能になります。スマートハウスと呼ばれる所以です。

住宅にHEMSを導入すると、節電効果が期待できます。家で使っている電力がリアルタイムで見えるようになれば、無駄な照明を落としたり、電気を使い過ぎないよう気を付けたりしたくなるからです。政府は、地球環境保全の観点からも、2030年までに全世帯(5000万世帯)にHEMSを普及させる目標を打ち出しています。

一方で、当初予想していた速度では普及が進んでいないようです。費用などの問題もありますが、集めたデータの活用法も見いだせず、導入の効果が期待ほどではないという声も聞かれます。

この理由の一つは、HEMSに接続される機器が、専用のインターフェースを備えており、IoTデバイスのようにインターネットに直接接続されるものではないことです。これが可能となれば、得られた情報をサービス事業者全体が統一してビッグデータ化し、新しい価値が生まれる可能性があります。例えば、気象情報と連動した室温制御や電力制御などです。

Geo-Stickは、インターネットと一体となって動作するIoTデバイスです。将来は、地震時の住宅内の情報や画像を、遠隔地のスマホで見ることができるようにしたいと考えています。HEMSだけでなく、このようなIoTを活用した住宅がスマートハウスかもしれません。