ラズパイ

ラズベリーパイをご存じでしょうか。IoTのムーブメントが巻き起こっているなか、ラズベリーパイ(Raspberry Pi、略称ラズパイ)という言葉を目にする機会が増えています。ラズベリーパイは、イギリスのラズベリーパイ財団が開発した超小型のシングルボードコンピュータです。名刺サイズの小さな1枚の基板に、ARMベースのCPUや、パソコンを構成するハードウェアの大半が詰め込まれていて、HDMI/USB/LAN等のインターフェイスを利用することが可能です。

→ラズベリーパイ正規総代理店 – RSコンポーネンツ | 半導体・電子部品の通販 RSオンライン

ラズベリーパイは、もともと学校でのコンピュータ教育を目的に開発されており、価格が数千円に抑えられています。最初に登場したのは2012年ですが、現在ではネットワーク対応や処理速度の向上、ワイヤレス通信への対応などが図られ、2016年には累計販売数が1,100万台を超えたとの情報もあります。

→Raspberry Pi | Wikipedia

この小型で廉価なやシングルボードコンピュータは、教育だけでなくプロの製品開発分野でも使われています。Geo-Stickでも、USB/Etherの変換器の試作機として使われています。アイデア次第で、様々なIoTの実現が期待される魅力的なコンピュータです。

5G

最近、通信の分野でよく耳にするのが5Gです。Gは世代を表すGenerationの頭文字で、5Gは第五世代の移動通信システムを表しています。世代交代はおおよそ10年毎に起こっており、ドコモなどでは2020年の実用化を目指して開発がすすめられています。

→5G(第5世代移動通信システム) | 企業情報 | NTTドコモ

スマホでメールやSNSを使ったり、音楽や動画を楽しんだりしている範囲では、現状の4G通信で大きな不満を感じることはありません。しかし、今後はIoT化が急速に進み、ありとあらゆるモノがインターネットに接続することで通信量の増大が見込まれており、高速通信を特徴とする5Gに期待が高まっています。車の自動運転やドローンによる情報収集、遠隔医療などでは5Gが不可欠となりそうです。

Geo-Stickでは、無線通信網を使うワイヤレスモデルを開発しています。これは、LANが設置されにくい体育館や避難所などで使われることを想定していますが、電柱や堤防など地震時に損傷が予想される屋外の構造物も対象としています。また、カメラを備えたモデルを開発し、地震時の被災状況を即時に伝えることも視野に入れています。

問題は、地震発生時には数多くのGeo-Stickからの通信を同時に受けることとなることや、送るデータも加速度波形データや画像など、重たいものになることです。このような場合には、5Gが頼りになる通信システムになりそうです。

IoT

IoT (Internet of Things)とは、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノが、ネットワークを通じて相互に情報交換をする仕組みです。アマゾンのWebページにわかりやすい解説があります。また、総務省の情報通信白書(平成28年版)によると、IoTデバイスの数は2015年の154億個から、20年には304億個になるとされています。

→IoT とは?(Internet of Things)| AWS
→関係情報:情報通信関連:情報通信白書平成28年版

建築や土木の分野でもIoTの活用が進んでいます。建物で浸透するスマートハウスやスマートビルの概念では、建物内の温度や湿度、照度などを計測し、建物内のエネルギー消費を最小化したり、生活環境を最適化するよう、照明やエアコンを制御します。土木の分野では、各種センサにより建設機械や作業員の動きを把握し、作業効率や作業の安全性を高めるように施工管理がなされます。IoTは、インターネットに接続されたセンサ群がもたらす情報を総合し、新しい価値を創造する仕組みといえます。

Geo-Stickのような加速度計測システムも、インターネットに接続することにより、得られた情報を様々な方面に活用できるようになります。例えば、多くの建物にGeo-Stckが設置されたとすれば、地震時に揺れやすい地盤や建物を見つけ出すことができます。これらを補強することで地震に強いまちづくりが可能になります。

層間変形角

建物が地震力を受けて水平方向に変形する場合に、各階の床の、下階の床に対する相対的な水平変形量を「層間変形」と呼び、その値を「階高」で割った値を「層間変形角」と呼びます。
層間変形角は、建物各階のひずみ度合いを表しており、地震時における建物の損傷を評価する上で大切な指標です。建築基準法では、想定した地震力に対して層間変形角が1/200以内となるように設計することを要請しています。

→建築基準法施行令|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

一方、Geo-Stickが建物の上下階の床に二つ設置してあれば、地震時の層間変形角を求めることができます。まず、両方の加速度時刻歴データを積分し、両方の階での水平変位の時刻歴を求めます。得られた二つの変位時刻歴の時刻を揃えて並べ、上階と下階の変位の差を求め、これを階高で除せば層間変形角の時刻歴が得られます。この最大値が、地震時における建物の損傷を評価するための値となります。

これらは簡単な作業に見えますが、実は大変です。一つは、加速度を積分して変位を求める際に、低周波のノイズに起因するみかけの変位が生じてしまいます。これには、気象庁が用いているフィルタを使うことが考えられます。

→速度波形・変位波形の求め方|気象庁

二つ目は、両方の変位の時刻を合わせることです。Geo-Stickのような加速度計測システムは、内部に時計を持っていますが、時刻はあまり正確ではありません。このような場合には、それぞれのGeo-Stickの記録開始時刻や終了時刻を、通信ネットワーク内の別のコンピュータの時計で計測し、時刻を合わせる方法が考えられます。

Geo-Stickを用いた地震と建物のモニタリングサービスでは、このような工夫を施して層間変形角を求めています。

新・緊急地震速報

気象庁は、巨大地震が発生した際でも精度良く震度が予想できる手法を導入した緊急地震速報の運用を、平成30年3月22日から開始しました。

→気象庁|報道発表資料|緊急地震速報の技術的改善について
→気象庁|緊急地震速報|PLUM法の導入について

これまでの緊急地震速報では、地震を検知した観測点のデータから素早く震源の位置やマグニチュードなどを推定し、これと距離減衰式を組み合わせて広域の震度を予測し通報するものでした。しかし、この方法では東北地方太平洋沖地震のような大きな震源域を有する地震に対し、十分な精度で予測ができない弱点がありました。そこで、新しく開発したPLUM法と呼ばれる手法を震度予測に加え、この弱点を克服しました。

PLUM法では、震源や地震の規模の推定は行わず、予測したい地点の周辺(半径30kmの範囲)の地震計でリアルタイムに計算された震度から、直接その地点の震度を推定します。 これは「予測地点の付近の地震計で大きな揺れが観測されたら、その予測地点も同じように大きく揺れる」という考えに従った予測方法です。この方法では、予測地点の周辺まで地震波が到達するまで推定ができないため、予測してから揺れがくるまでの時間的猶予は短かくうなります。しかし、震源域が百キロメートルを越えるような巨大地震が発生した際でも精度良く震度が求められるとされています。

このような予測手法では、地震の観測地点が密に存在することで予測までの時間が短縮される可能性があります。Geo-Stickが多数設置されれば、緊急地震速報に一役買うかもしれません。