IoT

IoT (Internet of Things)とは、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノが、ネットワークを通じて相互に情報交換をする仕組みです。アマゾンのWebページにわかりやすい解説があります。また、総務省の情報通信白書(平成28年版)によると、IoTデバイスの数は2015年の154億個から、20年には304億個になるとされています。

→IoT とは?(Internet of Things)| AWS
→関係情報:情報通信関連:情報通信白書平成28年版

建築や土木の分野でもIoTの活用が進んでいます。建物で浸透するスマートハウスやスマートビルの概念では、建物内の温度や湿度、照度などを計測し、建物内のエネルギー消費を最小化したり、生活環境を最適化するよう、照明やエアコンを制御します。土木の分野では、各種センサにより建設機械や作業員の動きを把握し、作業効率や作業の安全性を高めるように施工管理がなされます。IoTは、インターネットに接続されたセンサ群がもたらす情報を総合し、新しい価値を創造する仕組みといえます。

Geo-Stickのような加速度計測システムも、インターネットに接続することにより、得られた情報を様々な方面に活用できるようになります。例えば、多くの建物にGeo-Stckが設置されたとすれば、地震時に揺れやすい地盤や建物を見つけ出すことができます。これらを補強することで地震に強いまちづくりが可能になります。

層間変形角

建物が地震力を受けて水平方向に変形する場合に、各階の床の、下階の床に対する相対的な水平変形量を「層間変形」と呼び、その値を「階高」で割った値を「層間変形角」と呼びます。
層間変形角は、建物各階のひずみ度合いを表しており、地震時における建物の損傷を評価する上で大切な指標です。建築基準法では、想定した地震力に対して層間変形角が1/200以内となるように設計することを要請しています。

→建築基準法施行令|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

一方、Geo-Stickが建物の上下階の床に二つ設置してあれば、地震時の層間変形角を求めることができます。まず、両方の加速度時刻歴データを積分し、両方の階での水平変位の時刻歴を求めます。得られた二つの変位時刻歴の時刻を揃えて並べ、上階と下階の変位の差を求め、これを階高で除せば層間変形角の時刻歴が得られます。この最大値が、地震時における建物の損傷を評価するための値となります。

これらは簡単な作業に見えますが、実は大変です。一つは、加速度を積分して変位を求める際に、低周波のノイズに起因するみかけの変位が生じてしまいます。これには、気象庁が用いているフィルタを使うことが考えられます。

→速度波形・変位波形の求め方|気象庁

二つ目は、両方の変位の時刻を合わせることです。Geo-Stickのような加速度計測システムは、内部に時計を持っていますが、時刻はあまり正確ではありません。このような場合には、それぞれのGeo-Stickの記録開始時刻や終了時刻を、通信ネットワーク内の別のコンピュータの時計で計測し、時刻を合わせる方法が考えられます。

Geo-Stickを用いた地震と建物のモニタリングサービスでは、このような工夫を施して層間変形角を求めています。

新・緊急地震速報

気象庁は、巨大地震が発生した際でも精度良く震度が予想できる手法を導入した緊急地震速報の運用を、平成30年3月22日から開始しました。

→気象庁|報道発表資料|緊急地震速報の技術的改善について
→気象庁|緊急地震速報|PLUM法の導入について

これまでの緊急地震速報では、地震を検知した観測点のデータから素早く震源の位置やマグニチュードなどを推定し、これと距離減衰式を組み合わせて広域の震度を予測し通報するものでした。しかし、この方法では東北地方太平洋沖地震のような大きな震源域を有する地震に対し、十分な精度で予測ができない弱点がありました。そこで、新しく開発したPLUM法と呼ばれる手法を震度予測に加え、この弱点を克服しました。

PLUM法では、震源や地震の規模の推定は行わず、予測したい地点の周辺(半径30kmの範囲)の地震計でリアルタイムに計算された震度から、直接その地点の震度を推定します。 これは「予測地点の付近の地震計で大きな揺れが観測されたら、その予測地点も同じように大きく揺れる」という考えに従った予測方法です。この方法では、予測地点の周辺まで地震波が到達するまで推定ができないため、予測してから揺れがくるまでの時間的猶予は短かくうなります。しかし、震源域が百キロメートルを越えるような巨大地震が発生した際でも精度良く震度が求められるとされています。

このような予測手法では、地震の観測地点が密に存在することで予測までの時間が短縮される可能性があります。Geo-Stickが多数設置されれば、緊急地震速報に一役買うかもしれません。

距離減衰式

地震の揺れは、地震が発生した場所から遠くなればなるほど弱くなります。このことを距離減衰といいます。距離減衰式とは、この地震の揺れの強さと震源からの距離との関係を式に表したものです。これは、過去に発生した数多くの地震のデータをもとにした回帰式で、地震のマグニチュードや震源からの距離などを計算式に入力すると、震源からの距離に応じて、地震の揺れの強さや震度が求められます。

距離減衰式は、地震の揺れを予測するために活用されます。例えば、ある活断層で地震が発生した場合、その周りの地域でどの程度の震度分布になるかという予測計算に用いられています。計算した予測震度分布は、地震動ハザードの評価に用いられ、さらにその地震動ハザードを用いて、その場所でどのような被害が発生する可能性があるかを評価することができます。

また、緊急地震速報にも距離減衰式が活用されています。緊急地震速報では、地震を検知した観測点のデータから素早く震源の位置やマグニチュードなどを推定し、これと距離減衰式を組み合わせて広域の震度を予測し通報します。
Geo-Stickを用いた地震と建物のモニタリングサービスでも、この距離減衰式を用いています。

→中小地震時の震動から大地震時の影響を推定する|地層科学研究所

地震の揺れを予測する簡便な手法ですが、実際の計測値と組み合わせることで予測精度の向上が図られると考えます。

計測震度

地震時の揺れの強さは「震度」で表現されます。気象庁が発表する震度は、過去には測候所職員などの体感や周囲の被災状況によって決められていました。例えば、1946年まで使われていた震度階では、「震度Ⅴ(強震):壁に割れ目が入り、墓石・石灯ろうが倒れたり、煙突・石垣などが破損する程度の地震」といった具合です。1996年以降は、客観性や速報性などを高めるため、地震計より得られた加速度データをデジタル処理し、計測震度と呼ばれる値を求めて揺れの強さが表現されています。

計測震度と震度の関係や計測震度の求め方、震度と想定される被害の関係などは、気象庁のWebページに詳しく掲載されています。

→気象庁|計測震度の算出方法

→気象庁|気象庁震度階級関連解説表

計測震度の計算には、加速度の大きさの他に揺れの周期や継続時間が考慮されており、経験的な被害状況との整合が図られています。

Geo-Stickには、3成分の加速度センサが搭載されており、気象庁の方法で計測震度を求めることができます。ただし、計測震度と揺れの強さや被害状況の関係は、地表面に設置された地震計で得られた加速度データに基づき求められた計測震度に対応したものです。仮に、ビルの4階にGeo-Stickが設置されており、ある地震で計測震度が4.0であったとすれば、ちょっとややこしいのですが、気象庁が震度4と発表した場所の地表にいた人が感じた揺れと、同じ程度の揺れが4階で感じられた、となります。

ともあれ、計測震度は揺れの強さを表す大切な指標であり、Geo-Stickを用いた診断サービスでも値を求めてお伝えします。